交通事故が発生してから最終的に解決するまでの流れをまとめてみました。
はじめに
怪我の治療と車の修理は全くの別のもの
交通事故の際には人の怪我に関わる損害と、車両や道路設備、建造物等への損害を分けて考えます。それぞれ人身、物損といいます。ほとんどの保険会社ではそれぞれ別々に担当者が設定されており、別々に連絡をしてきます。そして別々に示談書を作成します。怪我が治る方が時間がかかる事が多いので、先に物損の示談を済ませる事が一般的です(揉めなければ)。例外的ではありますが人身と物損で、過失割合の違う示談をする事もあります。もちろん一緒に示談しても構いませんが、あまりメリットは無いと思います。
・怪我の治療費
・治療に関わる休業損害
・着衣の損害(時計やメガネ、靴、身につけるもの)
・通院の為の交通費
・車両の修理代
・代車費用
・レッカー費用
・積載荷物の損害
・車両や建造物などの修理に関わる休業損害
・建造物等の修理費用
物損の示談が終わるまで
相手のある交通事故で、双方怪我は無く、任意保険に加入しているものとします。
事故発生
まずは二次災害の危険性を排除し、110番通報をしましょう。その際、オペレーターに「救急車は必要ですか」と聞かれますので必要であればお願いしましょう。119番を別に掛ける必要はありません。
警察到着
けが人のいない軽微な物損事故であれば、その場で15分もあれば終了します。最後にお互いの連絡先を交換しましょう。
けが人のいる人身事故の場合は、実況見分をし警察署まで行く事になります。1時間以上かかると思った方が良いでしょう。
どんな軽微な交通事故でも運転者には110番通報する義務があります。例え相手がパトカーだったとしても110番通報しましょう。
保険会社に連絡
保険会社に事故の一報を入れます。保険会社の営業時間外(平日の9:00から17:00以外)であれば翌営業日に担当者から連絡が入ります。それまでは待つしかありません。
事故の概要と相手の連絡先を必ず伝えましょう。
よくテレビCMで「安心の24時間事故受付」とか言っていますが、受付だけです。もちろん、どんな保険会社でも24時間事故受付をしています。農協だってやってます。→こちら騙されないように 笑。
修理工場に出す
行きつけの修理工場がある場合は、自走可能であれば持って行きましょう。自走不能の場合は取りにきてもらいましょう。
分からない場合は保険会社に相談すれば紹介してくれます。また、契約内容によっては無料のレッカーサービスがついていたりします。
自走可能なのにレッカーを頼むと、保険でカバーされない事もあるので気をつけましょう。
あなたの保険会社の担当者から連絡がくる
さて翌日、 待ちに待った電話がかかってきました。あなたの加入している保険会社の担当者からの電話です。
便宜上、彼と呼びます。
彼は相手との示談が済むまであなたの代理人を努めてくれる担当者です。基本的には、あなたと利害関係の一致するあなたの味方です。出来るだけ仲良くしましょう。
落ち着いて次の4点を説明しましょう。
・怪我の有無
・事故の概要
・修理工場の連絡先
・相手の連絡先
きっと彼は何枚か書類を送ると言ってきます。もし車両以外に壊れたものがあればそれを記入する書類も送ってくれます。実は彼は同時に200件前後の交通事故案件を抱えているのです。なるべく早く返送してあげましょう。
相手の保険会社の担当者から連絡がくる
もしかするとこちらの電話の方が先かもしれませんが、相手の保険会社の担当者からも電話がかかってきます。
便宜上、彼女と呼びます。
彼女はあなたと利害関係の対立する立場にあります。手強い相手かもしれませんが、それが彼女の仕事なのです。事故の原因は彼女にはありません。決して感情的にならないよう気をつけて下さい。これ結構大事です。
さて、これで主要な登場人物は出そろいました。あなた、あいて、あなたの保険会社の担当者(彼)、相手の保険会社の担当者(彼女)の4名です。この4名全員が納得することができれば示談成立となります。ここからはこの4名の伝言ゲームの様な様相を呈してきます。
修理工場にて
修理工場へは相手の保険会社の査定担当者(アジャスターといいます。整備士の資格を持っています。)が連絡を入れます。そして修理工場が修理を始める前に見に来ます。たいてい連絡を入れた次の日です。ここでは事故から3日目になりますね。修理工場は見積もりを用意して待ち受けます。
アジャスターは自ら見積もりを作成し、修理工場の見積もりと照らし合わせます。高すぎたり、余計な所を治そうとしたりしてないかなどチェックします。最終的に修理工場と金額の合意を得るようにします。これを「協定する」といいます。
事故から4日目にアジャスターは彼女に損害額についてのレポートを提出します。これは専門家として「今回の事故の損害は〇〇円です」といった感じです。
過失割合を決める
そのころあなたの書類を受け取った彼は彼女と過失割合の相談をしています。お互いプロ同士ですから、あなたと相手の言い分が食い違っていなければ割とスムーズに過失割合が決まります。
そして彼から「今回の事故の過失割合は○対○です」と連絡が来ます。揉める可能性の第一段階はここです。が、現実問題として、相手が嘘をついていてかつそれが嘘である事を立証出来る(目撃者や車載カメラなど)ので無ければ、彼から提示された過失割合を大きく変更する事は難しいでしょう。私の経験上、5%ならそこそこ交渉可能です。10%の変更(80対20を70対30にしてくれ)はかなり難しいです。
正直に言ってほとんどの場合、ここで提示された過失割合について争うのは時間の無駄です。保険会社も営利企業ですから、根拠無き過失割合は上司が決裁しません。そして彼も彼女も決済されないと分かっている稟議を上げたりはしません。
ちょっと脱線気味になってしまいましたがここの話だけでブログ3回分くらいになってしまうので、今度書きます。
示談書作成
すったもんだの末、過失割合が決まればもうゴールです。過失割合×修理代金が保険会社から支払われます。
あなたは足りない分の修理代を修理工場に支払いましょう。これについての詳細はコチラの記事に載っています。
昔は示談書を取り交わしていましたが、双方が任意保険を利用している場合は示談書を省略することが最近の傾向です。どちらかが返送してこないだけで支払いが滞ってしまいますからね。
また、保険会社からの支払いは原則、修理工場へ直接振り込まれます。
残念ですがどちらに非があるにせよ、交通事故に遭遇してしまったら、なんらかのロスが生じるものです。安全運転につとめましょう。
今回は割とミもフタもない解説になってしまいましたが、交通事故とは双方損するものです。
次回はその損を減らす方法をお伝えします。