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それぞれの特徴
よく「4ストは燃費がいいから、4ストがいい」ってお客様がいらっしゃいます。確かにその通りなんですが、それだけじゃないんです。
今日は原付における2スト車と4スト車の違いを説明していきたいと思います。
2スト原付の特徴
オイルを燃やしながら走るので、定期的にオイルの補充が必要です。
一般的な2ストの車両は、キャブレターという部品でガソリンと空気、オイルを混合してエンジンに送る仕組みになっています。
オイルを切らしてしまうと、エンジンが焼き付いてしまいます。オイルの残量警告灯が点灯したらすぐに補充しましょう。
4ストに比べて構造が単純で、低排気量でもパワーを出しやすいのが最大のメリットです。
坂道等もグイグイ上っていきます。加速もいいので初めて原付に乗る方などは、ちょっと怖いかもしれません。
うっかりアクセルを開けるとウイリーしそうになったりします。
構造が簡単な分、メンテナンス性も良いと言えます。オイル切れで焼き付かせてしまったとしても、3万円前後で修理が可能です。
一方、燃費が悪い、音がうるさい、環境に優しくないといったデメリットもあります。
燃費はライブディオやビーノなどの一般的な2ストスクーターで、20km/l弱といった所でしょう。
音で言うと「パイーン」って音を響かせながら走ります。
2ストのホンダスーパーディオ 6.8馬力 燃費48.5km/l(30km/h定地走行テスト値)
4スト原付の特徴
4スト原付のオイルは自動車と同様、交換が必要です。
メーカーの推奨交換頻度は3000kmに1回です。スピードメーターにステッカーが貼ってあったりします。ところが、これは大きな落とし穴です。オイルは時間とともに酸化して劣化します。全く走らなくても、半年に1回は交換しないといけません。
4スト車の寿命はオイル交換が全てです。原付のオイル交換は¥1500〜¥3000程度です。最低、半年に1回はオイルを交換しましょう。
50ccの4スト車は本当にパワーがありません。ちょっとした上り坂でも、アクセル全開で40km/hくらいしか出なかったりします。
これは4ストの宿命とも言える構造上の問題で、特に低排気量ほどパワーの無さが顕著に現れます。125ccクラスになるとほとんど影響は無いと言えます。
4ストのホンダトゥデイ(キャブレタ) 3.8馬力 燃費65.0km/l(30km/h定地走行テスト値)
品質の差
日本では排ガス規制に対応するため、2007年に2スト車の新規生産が中止されました。それ以降の新車は全て4ストになっています。
4スト車は構造が複雑で、部品点数も多いため、同じ条件でエンジンをつくると2スト車の倍くらいは違います。
また近年ではキャブレターの代わりに、コンピューター制御で燃料を噴射するインジェクションが導入されています。当然、コストアップしている筈です。
2ストスクーター全盛期は、ほぼ国内工場で生産しており、新車価格は15万前後くらいが一般的でした。
ところが、近年の4ストスクーターは新車価格が10万円前後にまで下落しています。生産拠点の移転や技術革新等、企業努力の賜物だと思います。
とはいえ、倍くらいのコストがかかるモノが逆に安くなっている訳ですから、実質3分の1の価格になっているという事です。これは耐久性を大きく犠牲にしていると私は考えています。エンジンだけでなくボディ構造も大分安っぽくなっています。
2ストのスクーターは20年以上前のジョグやディオが、いまだ現役で元気に走っています。もちろん原付市場でも販売しています。
4ストのスクーターは10年後どうなっているでしょうか。
燃費の差
ざっくりですが、4スト原付は2スト原付の倍くらいの燃費です。倍ってスゲーって感じですが、実はそうでもありません。
50ccの2スト車の燃費はおよそ15km/l〜20km/lです。4スト車はその倍くらいです。
ところで皆さんは、原付にどの程度の頻度で給油しますか?
満タン4リットルだとすると、80キロ走ります。片道2キロの駅までの往復を通勤に使っているとすると、月に1、2回ではないでしょうか。
満タンで¥700前後なので、¥1000/月くらいの差です。思ったより少なくないですか?
自動車だと満タンで1万近くしてしまうので、だいぶ大きい気がしてしまいますが原付だとこんなもんです。
4ストの場合は燃費のコストというよりは、ガソリンスタンドへ寄る回数が半分ですむという事の方が、メリットな気もします。