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固いネジの外し方
ネジによっては固くて回らない事もあります。古いオートバイを修理しているとしょっちゅう遭遇します。もちろん、どんなに固くても外します。
ネジ山が生きている場合
ネジ山がなめたり潰れたりしていない場合は、固着をはがしてやれば回して外す事ができます。
①イライラしない
②ドライバーは回す力2:押し付ける力8くらいでまわす
③無理してネジ山を潰さないように細心の注意をはらう
1、貫通ドライバーを叩く
貫通ドライバーという、先端のビット部分がグリップを貫通しているドライバーを使います。貫通ドライバーでないドライバーを叩くと、グリップが砕ける事になるので気をつけましょう。グリップ後部に金属部分が露出していれば、それが貫通ドライバーです。
これは貫通してない叩いてはいけないドライバー
こっちが叩いても大丈夫な貫通ドライバー
まずはネジに貫通ドライバーをあて、プラスチックハンマーで叩きます。結構思いっきり叩きます。叩いた後にドライバーを回してみて緩めば成功です。間違って指を叩くと超痛いので必ず軍手などの手袋を着用しましょう。多少はましになります。ww
こういった無反動ハンマーがあると、叩いてもバイーンと跳ね返ってこないので思い切り叩けます。
①ステーなどは曲がりやすいので気をつける
②可能な限り、そこそこ強めに叩く
③指は叩かない
2、ラスペネをかけて少し休憩してみる
潤滑スプレーです。クレ556のもっとすごいやつです。クレ556よりお高いです。こいつをシュッと吹きかけて休憩しましょう。
ラスペネいいよね。
あんなに高いけど、5-56と何が違うのさ?と思ってたんだけど、全然違うよね。(笑)
もう見た目に違う。
5-56はすぐ流れちゃうけど、ラスペネはまとわりつくように浸透していくのが見えるもんね。
— キレネンコB (@KNPEHEHKO__B) 2014, 10月 6
原付市場はワコーズ大好きですw
①ちょっと多めに吹く
②固着している部分に染みこむように吹く
3、ボルスターを使う
15分ほど休憩したらボルスターを使ってまわしてみましょう。
ボルスターを使ってドライバーを回している私w
ドライバーをネジにしっかり押し付けながら、徐々に力を加えていきましょう。固着している部分の力をはがすつもりで、ジワジワ力をかけていきます。固着がはがれる瞬間はパキッと音がします。そして緩み始めれば成功です。
注意
無理そうならすぐに諦めましょう。固着がはがれる瞬間は突然ネジが回る様になります。0か1かって感じです。逆に抵抗はあるもののジワジワ回りそうな感触を感じたらすぐに力を抜いてください。これは金属がねじれている感触で、外れる感触ではありません。ネジが折れるかネジ山が潰れるかしてしまいます。
だめそうなら無理をせず、もう一度貫通ドライバーで叩いてみましょう。何度か挑戦すればほとんどのネジはこれで外れます。
①イライラしない
②ドライバーは回す力2:押し付ける力8くらいでまわす
③無理してネジ山を潰さないように細心の注意をはらう
4、インパクトドライバーを使う
ここまで手強いネジに遭遇うしてしまったら、秘密兵器インパクトドライバーの登場です。このドライバーは背中を押すと先端が1/4くらい回転します。このドライバーをネジに当てハンマーで思いっきり叩きます。あまり何度もやると、ネジを潰してしまう恐れがあるので気をつけて下さい。できれば一撃で決めたいので気合の一撃をかましましょう。1/4でも回り始めればあとは普通に外せるハズです。
最近こんなアイテムを見つけました。なめたネジでも回せます。インパクトドライバーの先端に装着するようのビットです。超便利って原付市場相模原店の榎本君が教えてくれました。
5、火あぶりの刑
もう我慢も限界です。ガスバーナーで火あぶりの刑にしてやりましょう。ただしあぶるのはネジではなく、ネジの回りの部分です。外側を熱で膨張させて緩めようという作戦です。これでも緩まないなら最終手段です。
最終兵器エキストラクター
もう回しません。破壊あるのみです。といっても大抵の場合ここまで来る前にネジ山が潰れていると思います。そんな時は破壊してやりましょう。金属用のステンレスドリルでネジのど真ん中に穴を開けます。もちろんネジより細いドリルを使って下さいね。ある程度穴が空いたらエキストラクターをプラスチックハンマーで軽ーく叩き込みます。後はエキストラクターを締め込んでいけば外れます。エキストラクターは逆タップとも言います。左回りに締め込む、ドリルの様な工具です。
実際にエキストラクターで折れたネジを外しました。
リコイルスプリングとタップ
ドリルで穴を空けた時に、メス側のネジ山を潰してしまった時は、タップかリコイルスプリングでネジ山を修復します。ここまで外れないとは、大変な道のりでした。しかし我々はこうして、どんなに固いネジであろうと外してしまいます。なんせ工賃を頂いている訳ですから。だから工賃を値切るのはやめてね笑
なぜネジが固くなるのか
なぜネジが固くなるのか、何をすれば回る様になるのか。ネジの構造は意外と知られていないものです。構造と障害を理解し、作業を進めた方が格段に生産性が上がります。
ネジが固くて回らないという事は、「おねじ」(外そうとしているネジ)と「めねじ」(本体側のみぞ)がサビやゴミ等で固着しているという事です。下の図の赤い矢印はネジが固定されている状態を表しています。ネジを締めれば締めるほど、赤い矢印の力は強くなります。そしてこの赤い矢印の力が、サビ等の要因で想定より強くなりすぎると、外れないネジになります。
画像はWikipediaからお借りしました。
ネジの溝は山形をしていますが、固着しているのは山のうち片面だけという事です。山の上側の部分、赤い線の部分が固着していると外れないネジになります。
つまり、この赤い部分の固着をはがしてやる事で回る様になります。
この図でいうと「おねじ」を右側から叩く事によって、赤い圧力部分をはがそうというワケです。
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